昨日は韓国からやってきたプロジェクト・アイランド『アイランド -監獄島』をシアターZOOで。
南アフリカ共和国の劇作家アソル・フガードによって書かれた本作は、人種隔離政策のもとネルソン・マンデラ元大統領などが収容されていた、ケープタウン沖合のロベン島にある強制収容所を舞台としたお話。
登場人物は、反体制団体に加入し演劇に参加した罪で10年の刑を処せられたジョンと
デモ隊と一緒に警察署の前で通行証(非白人用通行証かな?)を燃やしたという嫌疑で無期刑に処せられたウィンストンの二人。
前半、彼らはギリシャ悲劇の一つ『アンティゴネー』を上演するしないで揉めに揉めるわけですが、
最初はウィンストンがアンティゴネー役をそこまで激しく拒絶する理由がちょっとわからないことに加え、二人の境遇というか状況も(パンフレット見ないで観劇したもので)今ひとつ掴めていなかったので、
やり取りに「?」が浮かぶこと多数。
ところが。
ジョンに恩赦が与えられ、刑期が残り3カ月に縮まったと打ち明けられるあたりから雰囲気が一変。
希望に照らされたジョンの横で、ウィンストンを浸食していた絶望が濃く影を落とします。ここで観客はかなり深いところへ誘われます。
でも、どういう心の変化でウィンストンは「アンティゴネー」を演じる気持ちになったのかな。ジョンへのはなむけかな?
劇中劇として演じられる『アンティゴネー』は、兄を埋葬するという肉親への情と宗教的義務を貫いたアンティゴネーが、法律のもと罰せられるという裁判シーンのみを披露。
「倫理」VS「法律(というか権力)」の構図にウィンストンの置かれた状況がリンクし、この裁判シーンは圧巻でした。(ジョンは権力者の役)
二人の役者のパワフルな身体から発せられるエネルギーが激しくぶつかり合い、そのまま砂と水が乱れ飛ぶ怒濤のラストへ。な ん て 力強く美しいんだ!!!!
「倫理」VS「権力」という人類の闘いの歴史が凝縮されているような時間で、こっちも気合入れて見ました。
エンドロール的に二人の披露するダンスも、まあエネルギッシュなこと。
いやはや。
終演後、思わず隣にいた平田さんに「すごいの来ましたねえ」とつぶやいてしまいました。
超大砲でした。
ふー。
照明も素晴らしかったです。小さな窓を通して、ああやって情景を光で描くんだもんなあ。
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