先週の金曜日に見に行った、TAKUMA FESTIVAL JAPAN『晩餐』@道新ホール。
開場後は、ステージに出ている宅間孝行さん(脚本・監督)や柴田理恵さん(WAHAHA本舗)にサインを求める長蛇の列。小劇場系の演劇しか見たことのない自分には、何だか新鮮な光景であります。
何と言うか、客席と出演者側に最初から信頼関係ができているというか、来ている人が緊張していないというか、そんなことを前説の様子でも感じつつ。
これって、出演されている方が、皆さん舞台をはじめ映画やドラマで活躍されていて、見知った顔だからこうなるのかな。
あのリラックスムード(と、ワクワクする感じ)は、いいものだなあ、と。
作品自体にも、おおいに発見がありました。
サイトにある「家族愛をテーマにしたハートフルコメディー」という言葉では拾いきれないものを内に含めた、「本当のエンターテイメント」。
自分の中で、演劇における「わかりやすさ」や「エンタメ」という言葉の意味が、一気に変わりました、これを見て。
力のある人は、誰もが楽しめる娯楽としての時間を提供しながらも、そこにハッとするような問いを含ませることができる。
力のある役者さんや脚本家、演出家なら、全く自然な態度で、人をゲラゲラ笑わせることも思わず涙ぐませることも、可能なのだなあ。
話変わり、
例えば幸せな生活を送る男女がいて、このまま一緒にいたら相手が2年後に死ぬ、ということがわかり、
相手のことを思って別れるか、このまま幸せな2年を送ることを大事にするか、どちらかを選択しなければならなくなったとして。
本作では、別れることを選ぶのですね。でも、その決断に対して優しい結末が待っています。
これって、「生きていればこそ」ということなのかもしれませんし、「今」の幸せだけを考えるのはエゴだ、ということなのかもしれません。
でも、くるかどうかもわからない未来のために、なぜ「今」不幸を選択しないといけないのかしら。
と、
考えてしまう自分に気付いたことが、本作からの一番大きな収穫でしょうか。
こうなったら絶対いいはずなのに、とわかっている世の中の物事が、うまく進まない理由はこれに尽きるな、きっと。
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