演劇プロデューサーの平田さん、札幌劇場連絡会会長の藤村さん、北海道教育大学で芸術文化政策を教えていらっしゃる閔さんとご一緒することになった視察ツアー。
数日前から山陰入りしていた3人と合流すべく、いざ鳥取へ。
少し早めに着いたのでフラフラ歩いていると、いい感じの食事のお店を発見。
たくみ割烹店。
隣には鳥取民藝美術館、たくみ工藝店があり、うつわをはじめとする工芸品を観て、買って、実際に割烹店で使い心地を試すという体験ができる場所。
この3つの場所をつくった吉田璋也さんは、初めて民藝を「プロデュース」した方とな。へ〜。
時間がなくて美術館は見れませんでしたけど、この辺は次回のお楽しみかな。
食後に3人と合流し、いざ鳥の劇場へ。
子供達が遊びながら開場を待つ図↓。託児室もあって、素晴らしい。
公演がある日は、市内のカフェに出店してもらうそうです。
コーヒー、美味しかったっす。
で、開場。閔さんのゼミ生だった松本さん(水色パーカーの方)が働いているところをパチリ。
劇場内に入ると、日本語と英語の字幕を見ることができるスマホを配布しておりました。
閔さんが実際に日本語版を使ってみたのですが、通常の舞台後ろに出る字幕より見やすかったそうです。
少し耳が遠くなった高齢者や、耳が不自由な人など、この日本語字幕システムが好評とのこと。
さらに本公演は中学生以下無料なので、たくさんのちびっ子たちも見に来ていたのですが
↑椅子の上に置いて座高をあげる木の椅子と座布団を自ら取りに行くなど、ちびっ子も慣れたもの。
鳥の劇場代表の中島さん曰く、「大人と同じ目線で、子供でもきちんと舞台上を観れるようにしてあげると、大抵どんな作品でも最後まで観ていく」とのこと。
「普段の生活で子供達の前で繰り広げられる世界だって、(子供でもわかるように配慮されたものがあるわけじゃなく、)子供達からすればわからないことだらけじゃないですか」という言葉に、目から鱗。確かに…。
で、トルストイ原作の民話『イワンのばか』。
お金や戦争って国家が国民をそれに依存させて支配するためのツールで、それらがなくとも国民が生きていけるようになると、「国家」なんてものは存在しないというか、ただ「大地」と「生活」がある。ということなんだなあ。
この「依存させて支配する」システムというのは、何もお金に限ったことではなく、例えばインフラもそうなのだと思います。(「おがくずトイレとか、構築されたインフラから自由になるというのは、一つの革命なのだ」という某氏との会話を思い出した。)
イワンが王様のイワン国?は、全員が何かを作るから物々交換で生活が成立する、一人一人が「自立」した国。
でも、武器の暴力を前にすると為すすべもなく、収穫物も家畜も家も焼き払われてしまいます。
それでも大地とつながっている限り、どんな苦しみも乗り越えていける、また作り出せばいい、という農民の不屈の強さが、もう最後の舞台上にドーーーーーンとあって、
その土地に暮らす子供も大人も一緒になって、あの静かに迫る(尊厳でもあり創造する人間の強さでもある)エネルギーを体感することが、鳥の劇場があることの最大の意義なのだなあ。
一方で、その強さの源である大地を奪われることの辛さも、しみじみと。内戦で土地を追われる、汚染(水俣の不知火海とか、今だったら放射線とか)される、とか。
あと「依存と支配」ということで言うと、国家が発行しない仮想通貨が流通する世界だと、イワン国のような価値観が発達するのかな。
そして、現代の「移動する人たち」は、イワン国の人たちのような「土地と共にある強さ」の代わりに、「インターネットと共にある強さ」があるってことなのかしら。
でも、土地と違って、「インターネットと共にある強さ」は何世代にも渡って受け継がれていく類のものじゃないですしねえ。そう考えると、現代において「インターネットと共にある強さ」を発揮している人たちは、あくまで「自分一人」の幸福を追求しているだけとも言える。
どこかに拠点を置く、その土地と向き合う、というのは、社会のことを考えるならやっぱり必要なことなのだろうなあ。
…まとまらなくなってきたので、次に。
終演後は、初の試みらしい「イワン食堂」が開店。
地元の方がとったイノシシ肉やたけのこ(たけのこにオスとメスがあることを知った。)
(↑お肉は自分で焼くスタイル)
博物館の学芸員の方と一緒に採取してきた野草(↓解説中)
を使った料理の数々を、こんな感じでいただく。
(テーブル左から、藤村さん、閔さん、平田さん。)クラフトビールも美味しかったっす。
夜は沖縄アーツカウンシルPOの野村さん、松本さん、中島さんもご一緒して、ご飯。
↑活造りのアコウが出てきましたが、ちゃんと締めてから出してほしい…。活造り文化って、パフォーマンス要素以外に何があるんでしょうね。
でも、食べることはそもそも命をいただくことなわけだから、活造りだからどうこうって思うことは偽善でしょうか…。野生動物だって、獲物が生きている状態かどうかなんて気にせず食べるでしょうし。
上のアコウも動いているのを見て微妙な気持ちになったけど、だからこそ「美味しく食べてやる!」と集中して食べました。
それはそうと
中島さんと平田さんとの話も、とても楽しかったです。
昨年秋に沖縄で開催された「全国小劇場ネットワーク会議 in 那覇」で出会ったという両氏。そこでの平田さんの基調講演について、中島さんが「札幌観劇人の語り場」に寄稿していたので、ぜひこちらもご覧ください。
そして0時に解散。
店を出ると、無風状態で干された風な佇まいの鯉たちが。
いきなり盛りだくさんの鳥取で、ホテルに着いたら速攻就寝。
城崎編に続きまーす。
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